ホーム > 放射線測定 > FitzPeaks NaIを用いた放射線測定(測定編)

FitzPeaks NaIを用いた放射線測定(測定編)

今回から、Fitz Peaks NaIを用いたエネルギー校正、核種同定および定性的評価方法をまとめたいと思います。
第一弾は測定の手順を説明します。

なお、ベクレル(Bq)換算等を行う定量的評価につきましては、未だ行っていませんので、すぐにまとめることができません。いずれ行う予定ですので、しばらくお待ち下さい。

ここでいう「定性的評価」とは、「各スペクトルのピーク面積を求める」こととします。
ピーク面積を算出すれば、ベクレル数は分からないけれども、試料同士の比較は行うことができます(例えば、うちの土壌の放射線量は、○○と比較して1/100だった、という比較のことです)。
ピーク面積を算出する場合、単一ガンマ線でしたら単純なのですが、複数のピークが混在している場合は計算が複雑なため、FitzPeaksなどの何かしらのソフトウェアを用いるのが効率的です。

エネルギー校正の考え方

光電ピークの位置は、放射性物質によって異なります。シンチレーション検出器で捕捉したガンマ線はそのエネルギーに応じた波高を持った信号を出力します。GS-1100Aではその信号を音声信号に変換し、PCに取り込みを行います。
PRAはその信号の波高値を解析して「波高ごとの頻度」つまりヒストグラムデーターを作成します。
PRAが取得するデーターは、γ線のエネルギー(eV)を計算しているのではなく、単に波高値(簡単に言うと音の大きさ)を計算しています。
そこで既知のエネルギーを持ったγ線を測定し、PRAで観察された波高値とγ線のエネルギーの対応付けを行う必要があります。この作業をエネルギー校正と呼ばれています。

本エネルギー校正の適合範囲

今回のエネルギー校正は、かなり簡略した方法を採用することにしました。
理由は、現在「存在している」or「計測する必要がある」と考えられる核種はほぼ特定(I-131, Cs-134, 137)されているためです。
もちろん、未知の放射性核種を発見・同定する場合は、精度の高い校正を行う必要があります。しかし、市販されている高価な校正用線源を複数種類用意する必要がありますし、そもそも、安価なGS-1100Aがそこまで精度の高い校正に耐えられるデーターを提供できるか判断するためには、多くの検証を行わなければならず、困難であると考えられます。

エネルギー校正に用いる線源

エネルギー校正を行うためには、最低2種類の既知γ線ピークが必要です。
もちろん、エネルギー校正用線源をお持ちの方でしたら問題無いのですが、多くの方はお持ちではないでしょうから、その場合は身近にある放射性物質を線源として用いることになります。

線源1: 汚染された土壌(中エネルギー領域)

東日本北部やホットスポットにお住まいの方は、容易に手に入る線源です。また、最近では全国のホームセンターで「腐葉土」として比較的簡便に入手できるようです(泣)。
(当方栃木県宇都宮市在住、職場は大田原市なので問題なしです(;_;)。)
γ線エネルギーが中程度かつ、測定したい核種が含まれているため、エネルギー校正に最適と考えます。ただし、現在の土壌にはCs-134, 137が混在しているため、エネルギー校正に用いるのはCs-134の796eVのピークです。
いつでも測定できるように、「水分や虫などを除去、つまり天日干し」をしてから使うのがお勧めです。

線源2: KCL(高エネルギー領域)

いわゆる塩化カリウムです。天然の放射性物質でK-40が多く含まれています。試薬としてインターネットで販売されています。難しければ、カリウムの量は少ないのですが、スーパーなどで販売している“やさしお”でも代用できるとは思います。
ただし、検出器によってはカリウムの検出効率が悪いため、測定できない可能性があります。
その場合は、Cs134の複数ピークを使って校正する方法があるかもしれません。

エネルギー校正のためのデーター収集

PRAを用いてデーター収集を行います。

線源

線源1と線源2を検出器付近に置きます。

今回はエネルギー校正なので、置き方に特に気を使う必要がありません。
(今後、定量的評価を行うときには注意が必要です。)
収集時間は私の場合は3600secとしました。小さいサイズの検出器をお持ちの方はさらに長時間収集が必要になるかもしれません。

バックグラウンドデーター

線源の測定と同じ時間収集を行います。
基本的には何も置かない=空気
で良いと思います。

試料

何かしらの測定を行いたい試料です。
エネルギー校正とは違い、検出器と試料の置き方によって、スペクトル分布(光電ピークの高さ等)が変化しますので、検出器と資料の置き方(ジオメトリ)を注意してください。
エネルギー校正はピークが存在する波高値、(チャンネルともいいますね)さえ判定できればよいのですが、定性or定量測定する場合は、常に同じ状態で測定する必要があります。
データー収集が終了したら、Fitz Peaksに入力するスペクトルデーターファイル(Peak height histogram)を保存して、PRAを終了します。

今回の説明は以上です。

次回はFitz Peaks NaIの操作方法をまとめます。

広告
カテゴリー:放射線測定
  1. まだコメントはありません。
  1. No trackbacks yet.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。