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Archive for the ‘放射線測定’ Category

PMT用アンプの作成:まずは結果報告

この度、PMT用アンプの作成を行いました。

まずは結果から紹介します。

GS-1100Aと比較するとエネルギー分解能が向上し、Cs-134(592.3 keV)とCs-137(663.9 keV)のピークの“谷“を明瞭に分離することができるようになりました。

スペクトル測定条件

  • 試料:福島県伊達市付近の土壌(採取日:2011年7月10日)
  • 測定時間:3600sec
  • 測定結果:PDFファイル

自作アンプスペクトル解析結果

GS-1100Aスペクトル解析結果

エネルギー分解能は、796.3keV(Cs-134)では 53.22÷796.30≒6.68%という結果を得ることが出来ました(GS-1100Aでは8.07%でした)。

下記に、今回のシステムにおけるエネルギー分解能グラフを示します。

一般にNaI (Tl)+PMTのエネルギー分解能は662keV(Cs-137)では6.5~8.5%とされています(浜ホト 光電子増倍管 P141参照方)。

今回作成したシステムにおける650keVあたりのエネルギー分解能は、上グラフによると約7.5%くらいですので、まずまずの結果なのでは、と考えています。

まずは取り急ぎ報告までです。

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カテゴリー:電気工作, 放射線測定

自作サーベイメーター&明るく楽しい放射能リスク学習会

2012/02/26 3件のコメント

大変久しぶりの書き込みです。

やっと自作サーベイメータが出来上がりました。
今まで電子工作なんて全くやったことがなかったので、ゼロから勉強して3ヶ月、何とかお披露目することが出来ました。

そして、本日から本格的に使用開始です。

ちょうど群馬大学の早川先生が「明るく楽しい放射能リスク学習会@県民健康福祉村(埼玉県越谷)」を開催されましたので行って来ました。

このサーベイメーターはiPhoneアプリのガイガーボットで線量計測していますので、下記のようなMapを自動的に作成することができます。

公園のレンタルサイクルを借りてゆっくり走って作成しました。
大体30sec間隔で自動プロットしてあります。空間線量はほとんど0.1uSv/hくらいでしたが、池の周辺は若干高い傾向(0.14 uSv/hくらい)でした。
次はGoogleマップにexportしてみますね。

また、土壌を持ち帰ったので後でスペクトル分析を行います。

自作サーベイメーター仕様
プローブ:GX-1(NaI 1 x 1 inch)
電圧:約700 V
エステー社エアカウンタ Sにて(簡易)校正
※後日詳細報告します。

カテゴリー:放射線測定, 放射能Map タグ: ,

FitzPeaks NaIを用いたスペクトル分析

2011/10/01 5件のコメント

先日の報告に続き、放射能測定の詳細についてまとめました。

PRAおよびFitzPeaks NaIを用いたスペクトル分析および定量評価(ベクレル換算)の方法を説明します。

ブログでは書く内容が多すぎるため、下記URLにファイルをUpしましたのでご参照下さい。

なお、内容について過不足もしくは認識違いなどございましたら恐れ入りますが当方までご連絡をお願いいたします。

http://www.basama.net/upfiles/data/2011_10_01/Spect_V1.0.pdf

また、参考としてデーターファイルも用意致しました。
あわせてDown Loadして頂ければ幸いです。

http://www.basama.net/upfiles/data/2011_10_01/CaribData_20111001.zip

放射能濃度の測定ができるようになりましたので、次のステップは測定限界について実験を行う予定です。

今後とも宜しくおねがいいたします。

カテゴリー:放射線測定

NaIシンチレーション検出器とゲルマニウム半導体検出器の比較

大変お待たせしてしまいましたが、ゲルマニウム半導体検出器による分析結果が得られましたので報告させていただきます。

今回、ゲルマニウム半導体検出器による分析は“ユーロフィン ジャパン”に依頼しました。

担当の方には、非常に親切かつ丁寧な対応をしていただきました。ありがとうございました。

通常、Cs-134,137およびI-131の放射能濃度の測定のみですが、担当の方にお願いしてK-40(1,000円追加料金発生)の分析およびγ線スペクトル結果の送付もしていただきました。

なお、ユーロフィンの測定メニューには食品、工業製品、土壌があります。

土壌の放射能濃度を測定する場合は、土壌の一部を乾燥させて補正を行う手間がかかるため料金が少々高めになっています。また乾燥土壌の補正を行うため、検出限界が食品と比較して高くなっているとのことでした。

検体(試料)について

依頼した検体は、野崎駅周辺の土壌をよく乾燥させたものに塩化カリウム試薬 注1)を添加して作成しました。

※良く乾燥した土壌を用いていますので、“”には「食品」として解析を依頼しました。

注1)       高エネルギー領域のγ計数効率が比較的悪いため、塩化カリウム試薬を添加することで測定精度を向上させることができると思います。

 γ線スペクトル比較

下記にスペクトル結果を示します。

ゲルマニウム半導体検出器のスペクトル結果はPDFで返送していただきました。

(csvファイルなどのExportも試みていただきましたが、技術的な問題でできなかったとのことです。)

両者の光電ピークの位置が非常に一致していることが分かると思います。

放射能測定結果(ゲルマニウム半導体検出器)

下記の書式で返送していただきました。

なお、結果の誤差(不確かさ)は表記されていませんが、メールにて教えていただきました。

放射能測定結果(FitzPeaks: NaIシンチレーション検出器)

ゲルマニウム半導体検出器による放射能濃度を基に、NaI検出器のγ計数効率の校正を行うことができました。

FitzPeaksによる分析結果を下記に示します。

多少違いがあるものの、不確かさを考慮すれば、ほぼ同等の解析結果が得られたと思います。

今回は以上です。

次回は、FitzPeaksを用いた定量評価(ベクレル換算)方法を一気にまとめていきたいと思います。

カテゴリー:放射線測定

ご無沙汰

しばらくブログの更新をしていなくて申し訳ございません。

ただいま、定量解析(ベクレル換算)方法をまとめ中で、これがかなり煩雑でして、時間がかかっております。

また現在、土壌の詳細なスペクトル分析を外部の会社に依頼している最中です。
ゲルマニウム検出器を用いた解析なので、現在取り組んでいるNaI検出器との比較ができますので非常に興味深いです。
結果が届き次第報告させていただきます。

ベクレル換算の方法につきましても、ゲルマニウム検出器による答え合わせが終わりましたら、最終的なまとめを行いますので、もうしばらくお待ちいただけたら幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

カテゴリー:放射線測定

FitzPeaks NaIを用いた放射線測定(核種同定編)

6. 試料データー読み込み

エネルギー校正が完了しましたので、実際の試料の計測を行います。

6-1. 設定変更

エネルギー校正を行った検出器の番号を設定します。
“Set-Up”をクリックして、下記に示す設定項目を変更してください。
今回は検出器“Det_02.cal”ですので、“2”と入力します。

次に、バックグラウンドデーターを指定します。
“Peak Fitting”タブ項目に移動し、下図に示す設定項目を編集します。
バックグラウンドデーターは、あらかじめデーターベースに登録しておく必要があります。

6-2. データー読み込み

試料のスペクトルデーターファイルを選択開きます。
すると、収集条件などを入力するウィンドウが表示されますので、必要事項を入力して“OK”ボタンをクリックします。
Detector File: 2が設定されていることを確認してください。
Live Time: 収集時間を入力します。

7. 核種同定(核種ライブラリー編集)

“Analyse”→“Library Peak Search”をクリックします。これは、核種ライブラリーに基づくピークを検出します。
前述の“Peak Search”とは異なるので注意してください。

ピーク検出したら、
“Nuclides”→“Show Nuclides”および
“Nuclides”→“Nuclide ID for Cursor”
をクリックすると、ピークに応じた核種を表示することができます。

ところが、上図に示すように正しく核種を同定できないことがあります。

原因は、
・エネルギー校正が厳密ではない
・核種ライブラリーが適切ではない
ことが考えられます。

エネルギー校正に関しては、用意できるエネルギー校正用線源に依存します。今回は簡易校正のために十分なエネルギー校正が行えなかったと考えられます。
核種ライブラリーに関しては、デフォルトで指定されているライブラリーに必要な核種が含まれていないためです。
“Nuclides”→“Nuclide List”をクリックすると、ライブラリーに登録されている核種を確認することができます。

このライブラリーでは、Cs-134がリストに含まれていないため、他の核種に同定されてしまっているのが分かります。
そこで、他の核種ライブラリーを指定する方法を説明します。
一度“Analyse”→“Clear Peak List”をクリックしてピークを消去し、
“Set-Up”をクリックして設定を変更します。
“Peak Search”タブ項目の“Use Library driven Peak Search”チェックボックスをONに変更し、核種ライブラリーは“NaI.lib”を選択します。

次に、“Quantitative”タブ項目の“Analysis Library”項目に“NaI.lib”を選択します。

核種ライブラリーを選択したらもう一度
“Analyse”→“Library Peak Search
“Nuclides”→“Show Nuclides”
“Nuclides”→“Nuclide ID for Cursor”
を試行します。

すると、今度はかなり多くのピークを検出しましたが、逆に多すぎるし、適切な核種を同定されていない結果になってしまいました。

下図に示す“Expand”をクリックすると、スペクトル表示を拡大することができます。

“Nuclides”→“Nuclide ID for Cursor”をクリックすると、カーソルで指定したエネルギー付近に予想される核種が表示されます。

上図のカーソルで示すピークは、採取した土壌試料から考えるとCs-134(795.9 keV)と要するのが妥当と思われますが、Co-58(810 keV)と表示されてしまいました。現在多く存在してしまっている核種はCsです。かつ誤検出されたCo-58の半減期は約70日ですので、Co-58が検出されたのは間違えと考えられます。

そこで、誤検出されないように、想定している核種のみのライブラリーデータを作成することにします。

7-1. ライブラリーデータコピー

ライブラリーデータは、FitzPeaks NaIフォルダー下の“Libraries”フォルダー内にあります。
“NaI.lib“ファイルを任意の名前でコピーしてください。
今回は”NaIBasama.lib”というファイルで保存しました。

7-2. ライブラリーデータ読み込み

“File”→“Edit Analysis Library”をクリックすると“”ウィンドウが表示され、ライブラリーデータを編集することができます。
“Open Library”ボタンをクリックして、先ほど作成したライブラリーデータを読み込みます。
“Current Library name”に“NaIBasama.lib”と表示されていることを確認してください。

8. ライブラリーデータ編集

次に、不必要な核種を削除します。
“”ウィンドウ左側のリストに表示されている核種を選択し、“Delete Nuclides”ボタンをクリックして削除します。
今回は、Cs, Kのみ残しました。

最後に“Save Library”ボタンをクリック→“Close”ボタンをクリックして終了します。

9. ライブラリーデータ適応

作成したライブラリーを適応します。
再度“Set-Up”ボタンをクリックし、
“Peak Search”タブ項目の“Use Library driven Peak Search”チェックボックスをONに変更し、核種ライブラリーは“NaIBasama.lib”を選択します。

次に、“Quantitative”タブ項目の“Analysis Library”項目に“NaIBasama.lib”を選択します。

核種ライブラリーを選択したらもう一度
“Analyse”→“Library Peak Search
“Nuclides”→“Show Nuclides”
“Nuclides”→“Nuclide ID for Cursor”

を試行します。
下図に結果を示します。
正しく核種が認識されるようになりました。

核種同定については以上です。

次は、ピーク面積解析を行う方法をまとめたいと思います。

カテゴリー:放射線測定

FitzPeaks NaIを用いた放射線測定(エネルギー校正編)

準備

ソフトウェア: FitzPeaks NaI(リンク

スペクトルデーター
・エネルギー校正用データー
・バックグラウンドデーター
・試料データー

下記に私が取得したデーターを置きましたので、参考にしてください。
zipファイルリンク

収集条件

  • 検出器:BICRON製NaIシンチレーション検出器(シンチレーターサイズ:1.5φx2.25 inch)
  • 電圧:900 V
  • 収集時間:3600 [sec]
  • PRA収集閾値:5 [a.u.]
  • PRA Peak shape:自動
  • Windowsマイクゲイン:40
  • エネルギー校正用線源:JR野崎駅周辺土壌(500ml)、KCL試薬(500g)
  • 試料:JR野崎駅周辺土壌(500ml)

※遮蔽なし環境にてデーター収集

スペクトルデーターパラメーター

  • Number of bins(チャンネル数): 512 [ch]
  • Bin size: 0.2 [a.u.]
  • Min: 0 [a.u.]
  • Max: 200 [a.u]

手順

1. PRAデーター読み込み設定変更

PRAで作成したスペクトルデーターを読み込むため “Set-Up”をクリックして、下記の通り設定を変更します。

Generalタブ

  • Spectrum File Type: Text File
  • Header Lines: 1
  • Channels per Line: 1

また、マウスカーソルが自動的に移動してしまうのが気になる方は、下記設定を変更します。

Interactiveタブ
Move Mouse cursor: チェックボックスをOFFに変更する。

2. バックグラウンドデーター読み込み・登録

FitzPeaks NaIは、スペクトルデーターをデーターベースに登録して解析を行うことができます。

最初に、バックグラウンドデーターを読み込み・データーベース登録、そしてバックグラウンドデーターとして解析に用いる設定方法を説明します。

2-1. 設定変更

Generalタブ内にある“Default Detector file Number”を”0”にします。
FitzPeaks NaIは複数種類の検出器の構成を番号で管理します。
校正作業を行う際は“0”として作業を進める必要があります。

2-2. データー読み込み

スペクトルデーターの読み込みを行うと、下記に示す表示になります。

2-3. 登録事項入力

メニューの“Edit”をクリックして収集データーの編集を行います。

Spectrum Title: 任意のタイトル
Live Time: 収集時間
その他項目についても必要に応じて編集を行います。

2-4. データーベースに登録

“File”→“Save current Spectrum”をクリックし、保存します。
FitzPeaks NaIはスペクトルデーターをデフォルトで“Spectra”フォルダーに“*.dat”形式で管理します。
登録したスペクトルデーターは
“File”→“List Spectrum data files”をクリックすると一覧することができ、後で処理をすることができます。

3. エネルギー校正用データー読み込み・登録

バックグラウンドデーター登録が完了したら、次はエネルギー校正用スペクトルデーター読み込み・登録を行います。方法はバックグラウンドデーターと同じです。

4. エネルギー校正用設定ファイル編集

初めにどのエネルギーで校正を行うかを設定するファイルを編集します。
エネルギー校正設定ファイルは、アプリケーションと同じ階層に存在しており、デフォルトでは“NPLSTD.ENC”、“QCY.ENC”、“Standard.enc”の三種類が用意されています。
今回のエネルギー校正は、Cs-137(134)の795.760 keVおよびK-40の1460.800 keVの2点のみ行うので、上記ファイルを編集して新たに自分用のエネルギー校正用設定ファイルを作成することにします。
“Standard.enc“ファイルをコピーしてファイル名を”basama.enc“に変更→メモ帳でファイルを開き、下記の通り入力します。

5. エネルギー校正

5-1. ピーク検出&ピーク編集

エネルギー校正を行うピーク検出を行います。
“Analyse”→“Peak search”をクリックします。


上のスペクトル表示は、“YScale”→“Sqrt”を選択して全体のピークを見やすくしています。
この例では、合計6本のピークが検出されました。

ピーク編集

今回エネルギー校正を行うピーク値は、795.760 keVおよび1460.800 keVの2本ですので、不必要なピークを除外することにします。

上図に示す通り、ウィンドウ右側のピークを示す数値を選択し、
“Peak”→“Remove Peak”を選択します。
確認ダイアログが表示されますので、“OK”ボタンをクリックして削除してください。
この操作を、不必要なピークの分だけ繰り返して操作してください。
最終的なピークを下記に示します。


5-2. エネルギー校正

検出されたピークの存在するChとエネルギーの対応付けを行います。

“Calibrate”→“Energy”をクリックします。
“Repeat the Peak Search?“とメッセージが表示されますが、ここは”No“ボタンをクリックします。

すると、次にエネルギー校正用ファイルの選択ウィンドウが表示されますので、先ほど編集して作成したファイル(例:basama.enc)を選択します。

エネルギー校正用ファイルの読み込みが完了すると、上図に示す画面に切り替わります。

この例では、
Ch No. 289.0→795.76 keV
Ch No. 488.7→1460.80 keV
になりました。
“OK”ボタンをクリックして適応してください。

5-3. エネルギー校正保存

一旦ここまでの校正情報を保存します。
“File”→“Save Calibration”をクリックします。
すると、“Save Detector Calibration File”ウィンドウが表示されます。
校正情報は、検出器ごとに保存されます。
検出器の管理は、「2-1. 設定変更」で少し説明しましたが、検出器番号で分けられています。
したがって、ここで保存するファイル名は
Det_xx.cal(xxは01から始まる数字)
として保存する必要があります。
今回は、“Det_02.cal”として保存します。
(Det_01.calは最初から保存されているファイルなので一応残しておきました。)

5-4. 参考:定期的なエネルギー校正(確認校正)について

放射線測定装置は、シンチレーションやPMTの劣化などの影響により、徐々に特性が変化します。
そのため、定期的な校正(確認校正)を行う必要があります。
そこで、このソフトウェアは確認校正を簡便に行うための機能を備えています。
“Calibrate”→“Auto Energy Re-Calibration”を選択するとおこなうことができます。

エネルギー校正については以上です。
核種同定編に続きます。

カテゴリー:放射線測定