ガイガーボット(Geiger Bot)を用いたガンマ線スペクトル収集

2012/05/31 3件のコメント

ここ最近、ガイガーボット作者の方とやり取りを行なって、スペクトル機能追加のお手伝いを行なっています。

下記は最新版におけるスペクトルです。かなり実用的になって来ました。

まだまだ改良が続きますのでご期待ください!!

K-40

汚染土壌+KCl試薬

Probe:  BICRON

HV generator:  GS-1100A

Amplifier:  Hand made (for acquisition spectrum)

広告
カテゴリー:電気工作, iPhone, 放射線測定

土壌測定結果

手持ちの土壌の放射能測定を行いました。

福島県における土壌の放射能測定結果です。

採取日は2011年7月10日

飯舘村付近が一番汚染されていると思っていましたが、福島市にある「コラッセふくしま」が一番高い値を示しました。

これは、土壌の状態や採取方法の違いがあるかもしれませんが、意外です。

下記にその他を含む結果表を示します。

また、FitzPeaks NaIによる解析結果を下記場所に置きました。

リンク

カテゴリー:放射線測定, 放射能Map

I-131の拡散: 2011年3月15日、あなたはどこで何をしていましたか?

今、録画してあったETV特集を視聴しました。

ネットワークでつくる放射能汚染地図5 埋もれた初期被ばくを追え

私の住んでいる宇都宮市は比較的Cs汚染が少ないとされている地域なので少しばかり安心をしていました。

しかしこのビデオを視聴し、高濃度I-131の被曝をしていたかもしれないということを知りました。

下記はI-131の拡散シミュレーション結果です。

2011年3月15日、私は那須方面にある会社に出勤。子どもは宇都宮の保育園にいました。

当時は何も知らずにいましたが、シミュレーションの結果によると、この時間前後に栃木県全域をI-131が通過したと考えられます。

そして下記映像は、私がその日の14:30頃に会社付近で撮影したものです。

自衛隊か米軍のものと思われるヘリコプターが付近をずっと旋回飛行していました。

もしかしたら、まさにその時、私はI-131プルームのまっただ中にいたのかもしれません。

カテゴリー:被曝, 原発, 放射能Map

NaIシンチレーション サーベイメータの作成

3月のブログに紹介したサーベイメータの詳細を報告します。

サーベイメータはその名の通り、目に見えない放射線(放射能物質)を調査(survey)するための装置です。

どこが汚染されているのかを即座に検出する必要があるため、計数率が高い検出器が必要です。

今回作成したサーベイメータは、1 inchのNaI(Tl)シンレーション+PMT(GX-1)を利用しました。

外観

自作部分は、下記写真に写っているiPhoneの下にある高電圧発生装置およびパルス増幅アンプ部分です。

下記に分解した写真を示します。

高電圧回路はラジオペンチさんのHPを真似させて頂きました。わたしも同じように、写ルンですのトランスを流用して作成しました。

アンプ部はGS-1100Aと同じ構成にしました。

(処女作なもので、回路図ははずかしくて掲載できません。すみません。)

ケースは、どこかで見覚えがあるようなケースです(笑)、タカチのプラスチックケースを選びました。

iPhoneは安価なiPhone用カバーを使って固定しました。

電源はエネループ2本で、大体3~4時間くらいは持つと思います。

使用ソフトウェア

検出したパルスはiPhoneにインストールしたフリーソフトを用いて放射線量を測定します。

放射線を測定するためのAppはいくつか試しましたが一番おすすめするのは”ガイガーボット”です。

cpm、Sv/hはもちろんのことGPSを用いたロギングが可能なため、放射線Mapを作成する際に非常に威力を発揮します。

簡易的な校正方法

計測されたcpmから空間線量(Sv/h)に変換するためには、空間線量校正用線源が必要です。

しかし、校正用線源は非常に高価なため、”エアカウンター”を用いて簡易的に校正を行いました。

(なお、ガイガーボットはエネルギー補償する機能が無いので市販されているシンチレーション式線量計と比較すると精度が劣ると考えられます。)

1. 少なくとも、比較的空間線量の高い場所と低い室内などの2箇所にて、エアカウンターで空間線量を測定、また同時にその時のサーベイメータのcpsを記録します。

2.前項で測定した値を元に換算係数を求めます。

上記より、換算係数=37094.32、オフセット=304.22と算出できました。

その値をガイガーボットの設定項目に入力します。

実際の測定例

カテゴリー:電気工作, 放射線測定

PMT用アンプの作成:Before-After ポイント

リンギング

上図左側が改良前(GS-1100A)、右側が改良後(自作アンプ)によるパルス波形です。

改良前では、パルス前後の値が上下に激しく振動しているのが確認できます。これを”リンギング”と呼びます。

リンギングが発生する原因はケーブルが長いと信号がプローブ-アンプ間を反射-往復するためで、これを低減するためにはケーブルを出来るだけ短くするか、ケーブル-機器間のインピーダンスマッチングつまり終端抵抗を装着する必要があります。

しかし、GS-1100Aは高電圧と信号をひとまとめにしているため終端抵抗をつけるのは困難と考えました。

そこで高電圧と信号線を別線にし、信号線を出来るだけ短くすることにしました。

ベースライン安定性

上図はプローブ内にデカップリングコンデンサの追加前後におけるパルス波形を示したものです。

左側はコンデンサなし、右側がコンデンサ有りです。

コンデンサがない場合は電圧が一定しておらず、パルス波高が正しく測定できない可能性があります。

カテゴリー:電気工作, 放射線測定

PMT用アンプの作成:実装

Probe

まずは、プローブに穴を開けてMCXコネクタを取り付けます。

下記はMCXコネクタにカップリングコンデンサおよびブリーダー抵抗取り付け後の写真です。

(写真はありませんが、このあとに写真中のピンク線と赤線間にデカップリングコンデンサを取り付けています。)

基板配置およびノイズ対策

今回はユニバーサル基板を用いることにしました。部品配置の検討はPasS(リンク)を利用しています。

また、高周波信号を扱うのでいわゆる「ベタアース・ベタVCC」対応を行いました。

参考Link:宮崎技術研究所の技術講座 よく分かる実用ノイズ対策技術

PasSで作成した実装図をスクリーンキャプチャして、Power pointを使ってベタ領域の検討を行います。

(下記画像は検討途中の画像です。ブルー:グランド、ピンク:VCC)

下記に作成途中の基板を示します。

ベタ領域は、”Sunhayato 磁気ガード T-30C(リンク)”を使用しています。一般的な銅箔テープはハンダを弾いてしまうのですが、T-30Cはハンダとの相性が良いのでお勧めです。

保護回路、I-V変換部実装

微弱な電流が漏洩しないように、トランジスタおよびI-V変換の帰還抵抗などは下記写真にあるような空中配線を行なっています。

部品や作成についてや、その他などなど

  • 電流漏洩対策:I-V変換部分は特に注意が必要で、使い捨てゴム手袋を使用して実装しました。
  • 抵抗:温度変動の影響を出来るだけ小さくするため金属皮膜抵抗を用いる必要があります。
  • コンデンサ:オペアンプ周りのコンデンサ(フィルタ部分)は、抵抗の時と同様の理由で、温度係数の小さいディップマイカコンデンサを用いています。
  • オペアンプ実装:今回用いたオペアンプはMSOP-8なので、秋月電子のDIP変換基板を介して実装しました。
  • 電源:小型のスイッチング電源型アダプター(出力5 V、エネループ充電用を流用)を用いていますが、その後”イータ電機社製 DC-DCコンバーター(OAS1R5-0505)”を用いて安定化しました。

下記に大体作り終わった状態のアンプを紹介します。その後細かい調整やアーシングを行なっています。

用意したケースが大きすぎて左側が”がら空き”ですが、いずれその他回路を実装できるので、まあ良いかな?

カテゴリー:電気工作, 放射線測定

PMT用アンプの作成:回路

回路全体

アンプ概要

PMTで得られたパルスは微小電流変化として現れます。

Audio interfaceにてAD変換するためには、この電流変化を電圧変化に変換する必要があるため、プリアンプ部でIV変換(電流-電圧変換)を行います。

また、NaI(Tl)の発光時間は230 nsecと、他のシンチレータと比較すると長いのですが、Audio interfaceでサンプリングすることを考えると非常に短い発光時間です。

そこで、積分回路(ローパスフィルター)を用いて(Audio I/Fから見ると)インパルス状の波形を遅らせることで量子化しやすくします。

当然ながら、積分することでパルス波高が低くなってしまうため、最終段でLINEレベルまで信号増幅を行います。

下項目以降に各ブロックにおける回路の解説をします。

Probe

今回用いたプローブは、もともとHVと信号線が分離していたので、難しい改造はしていません。

基本的には元に戻したわけですが、下記改良を行いました。

カップリングコンデンサ追加

アンプに高電圧が直接流入しないようにカップリングコンデンサを追加しました。

(アンプ作成中に感電したくないのが一番の理由)

ブリーダー抵抗追加

高電圧がかかっている状態でアンプとの接続を外しても大丈夫なように、ブリーダー抵抗を追加しました。

無負荷時は抵抗R: 1 megΩに電流が流れます。

デカップリングコンデンサ追加

HV入力プラブ直後にデカップリングコンデンサを追加しました。

このコンデンサを追加することで、ベース変動が安定したパルス波形を得ることができました。

なお、手持ちのコンデンサが0.01 μF (103)しかなかったため、2つを並列接続しています。

(積層セラミックコンデンサ、2 kV耐圧)

Preamp:保護回路

オペアンプに過大電圧がかかって故障するのを防ぐための回路で、抵抗とトランジスタから構成されています。

抵抗は、あまり小さいと保護に寄与できないため10 kΩを選定しました。

漏洩電流及び接合容量を出来るだけ小さくするため通常のダイオードは使用せず、小信号増幅用トランジスタのB-Eジャンクションを利用しています。

(詳細は、浜ホト資料のP108参照方)

Preamp: I-V変換

電流-電圧変換回路に用いたオペアンプはAD8616ARMZです。

ホトダイオードのアンプにも使用されている”単電源 高精度 レールtoレールオペアンプ”で、今回全てのオペアンプはこれを採用しました。

帰還抵抗値を大きくするほど増幅率が大きくなるのですが、最適な増幅率は用いるプローブによって異なります。

(BICRONはGX-1と比較するとパルスが小さかったのですが、GS-1100Aではアンプゲインの変更が出来ず、電圧を高くせざる得なかったのです。)

帰還抵抗を100 kΩ、1 megΩに分けることで補償コンデンサ容量を大きくすることができます。

(ただ、このコンデンサの有無による効果は認められませんでした。ケーブル長が短いから?)

なお、ケーブル長を短くしているため終端抵抗は設置していません。

非反転入力端子に接続されている抵抗は、入力端子間の入力オフセット電流を減少させるためです。

参考リンク

  • 楽しい勉強会 フォト・ダイオードアンプの設計回路(PDF
  • トランス・インピーダンス・アンプ設計の基礎(PDF

Shaping (filter) amp

非常に短いインパルス状の波形を遅らせるためのローパスフィルタ回路。

この回路はLMC6482のデータシート(リンクp18参照方)に掲載されている回路をそのまま使用しました。

ただし、コンデンサ・抵抗値は実際にデーター収集しながら試行錯誤的に決定してあります。

(本当はコンデンサ容量は200 pF位が良かったのかもしれませんが、330 pFしか入手出来なかったためという言い訳もあります。)

通常の放射線測定のためのShaping ampは更にポールゼロキャンセル、微分フィルタ回路などが後段に設置されます。

しかし、このシステムはソフトウェアを用いて波形分析を行うので単純なローパスフィルタを用いるだけで良いのが利点です。

出力段

前段のローパスフィルタで減衰したパルスをラインレベルまで増幅させるため、非反転増幅回路を設置します。

帰還抵抗を10 kΩとVR(0-100 kΩ)に分けることで、1倍~10倍まで増幅率を変更できるようにしました。

(抵抗R =100 Ωの値はあまり考えないで適当な値にしてあります。)

カテゴリー:電気工作, 放射線測定