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放射線測定の流れ(概要)

これから数回に分けて、GS-1100AおよびPRA(+FitzPeaks NaI)を用いたγ線スペクトル解析(放射線測定)の方法について説明したいと思います。
まずは測定の全体的な流れを説明しますが、その前に、お勧めの資料を紹介させていただきます。
ちなみに、インターネットで検索する際のキーワードは、「放射線測定」ではなく「放射線計測学」で検索していただくと、より専門的な情報が探せると思いますので、お試しください。

参考資料

改訂 医用放射線計測学
http://www.iryokagaku.co.jp/frame/03-honwosagasu/375/375.html
診療放射線技師の学校で使われている、放射線計測学の教科書です。
放射線の基礎的な知識や統計処理の考え方を学ぶことができます。

放射能測定法シリーズ
http://www.jcac.or.jp/series.html
全部で34巻からなる放射線測定のためのマニュアルです。PDF版はフリーで配布されています。
なにはともあれ、この資料を読む必要があります。もちろんすべて理解する必要がありませんが、少なくとも下記巻は理解していただくのが良いと思います。
ただ、それなりのバックグラウンド(知識)が必要になりますので、最初は目を通すくらいで良いと思います。

  1. NaI(Tl)シンチレ-ションスペクトロメ-タ機器分析法
  2. 緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法

光電子増倍管 その基礎と応用
http://jp.hamamatsu.com/resources/products/etd/jpn/html/pmt_010.html

光電子増倍管(PMT、ホトマルとも呼びます)を製造・販売する会社が配布している資料です。
さすが世界トップシェア企業だけあって、PMTの構造や特性、実際の使用例などが詳細にまとめられています。

放射線測定の流れ

下図に、今回対象とする放射線測定の全体的な流れを示します。
なお、今回はPRAを用いてGS-1100Aから得られた信号波形からスペクトルデーターを作成し、FitzPeaks NaIで表示するところまでの説明になります。
FitzPeaks NaIを用いて本格的な定量解析をするためには、キャリブレーションを行うためのデーター収集が必要になりますので、それに関しては別途まとめていきたいと思います。

信号確認・マイクレベル調整

このステップが非常に重要になります。もしこのステップで間違いがあると、そのあとの測定データーがすべて台無しになってしまうので注意が必要です。
GS-1100Aは、PCのマイク端子を用いてデーター取得を行います。しかし、マイク端子が曲者でして、同じWindowsを使っていてもPCの種類によってマイクゲイン(つまり入力音声の大きさ)が異なっています。
また、PC内部ノイズなどの影響により、GS-1100Aからの信号にノイズが乗ってしまう、もしくは信号波形が波を打ってしまう場合があります。
そこで、適切な信号波形が得られているか確認するためにintuneを使用します。
intuneに表示されている波形を観察して、ノイズができるだけ少ない条件をそろえる必要があります。
また、次のステップで実際にPRAを用いたデーター収集を行うのですが、その際に必要な閾値を決定する必要があるため、intuneの波形をよく観察する必要があります。

Pulse sharp収集

シンチレーション検出器から出力される波形形状を分析するステップです。これは、ノイズの影響を小さくするとともに、ダブルカウントという、非常に時間幅が小さい複数のパルスを除外するために必要なステップです。
一度、PRAの信号波形形状分析モードでデーター収集して、分析結果ファイルを保存します。

本収集

実際にデーター収集を行うステップです。前のステップで取得した信号波形形状データーを読み込んで収集を行います。
データー取得が終了したら、スペクトルデーター(Peak height)ファイルをExportします。

スペクトルデーター表示

γ線スペクトルデーターの定量分析を行うためのソフトウェアであるFitzPeaks NaIを使います。
このソフトウェアは、エネルギーキャリブレーションやγ線計数効率のキャリブレーションを行うことで、放射線核種の同定、ベクレル等の定量分析を行うことができます。

今回の説明は以上です。
次は実際の測定についてまとめたいと思います。

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